「そ、そんなことないよ!
サンタさんは実在するんだよ!」
花陽
「そうだよ真姫ちゃん!
サンタさんは世界中の子供たち
にプレゼントを送るため、
フィンランドからトナカイ
にのって……」

凛
「違うよかよちん、
乗ってるのはソリだよ!」
花陽
「あう、そうだった……
それで、世界中を
駆け巡って!」
真姫
「なに言ってるのよ、
二人とも。サンタさんは
実在するに決まってるでしょ?
わかってるわよ、
そんなこと」
凛
「え?でも今、
パパがサンタさんって……」
真姫
「ああ、それね?」
話をしようとすると、、
昔のことを思い出すわね。
ずっとずっと、
私が小さかった頃のこと。
パパがサンタさん
だってわかった日。
真姫
「……昔話になるけど、
聞いてくれる?」
思い出しながら話をする。
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あれは、まだ私が
小学校に上がって少しした頃だったわ。

クリスマス前、終業式の前くらいに、
クラスのみんなで教室の
飾り付けをしていたの。
その時に誰か……
確か男子だったような……
が叫んだの。
サンタさんなんていない、
だってサンタさんは
俺のお父さんだから!
確か、そんな感じの
内容だったわ。
それまでずっとサンタさんを
信じてたから、かなりショック
だったことを覚えてるわ。
学校から帰って、
和木さんに聞いたのよ。
和木さん?
ああ、うちのお手伝いさんよ。
昔っから来てもらってるの。
それで和木さんに、
「サンタさんって、
存在しないの?」
って聞いたの。
それで和木さんは、
「そうですねぇ、
私にもわからないことが
多くて……そうだ、
旦那様に聞いてみては
いかがですか?」
そんな感じで、
はぐらかされちゃった。
パパに聞いてみようと
思ったんだけど……
嫌いだったのよ。
だって、ピアノのコンクールで、
上級生を抑えて2年生で
2位を取ったのに、
ちっとも褒めてくれないん
だもの。
きっとパパは私のことが
嫌いなんだ、だから
褒めてくれないんだ、
だから私もパパのこと
なんて―――――
だいっきらい!
そんな大嫌いなパパ
だったけど、すごい物知りで、
あの当時の私からしたら
知らないことは何も
ないんじゃないか、
って思ってた。
和木さんの
提案もあって、
その日の晩御飯の時、
パパに聞いてみたの。
ねぇパパ、
サンタさんて
存在するの―――――?
パパはゆっくりと、
私にもわかるような
単語を探しながら
答えてくれたの。
今でもあの時の
パパの言葉は、
きっと一生忘れないわ。
確かパパが言って
くれたのは、こんな感じの
言葉だったわ。
なる前はサンタさんに
なりたかったんだ。
だってサンタさんは、
一年に一度しか
働かないじゃないか……
ごめんよママ、冗談だ。

ええと、サンタさんっていうのは、
真姫が想像しているような
人物じゃないんだよ。
具体的に言えば、
「サンタさん」
っていうお仕事だよ。
(お仕事に「さん」
って付けるの?
変なの!)
変じゃないよ。
だって、お花屋さんも、
大工さんも、お医者さんも、
みんな「さん」が
ついてるじゃないか。
それでサンタさん
になりたかったのはね、
世界中に笑顔を
届けたかったからさ。
……実際には地区ごと
の役割制で、僕がサンタさん
になれた場合はオトノキを
担当する予定だったよ。
(ヤクワリセイ?
なにそれ、イミワカンナイ)
うーん、わかりやすくいうと、
サンタさんが一人だけだと
一晩では世界中を回れないだろ?
だから、このオトノキ地区
とか、となりの地区とか、
そういうふうに細かく担当
する地区をサンタさんに
割り当てるんだ。
それで「サンタさん」が
一晩で世界中を
回れるようにしている……
で、わかるかな?
(なんとなくわかった
……ような?)
さすが真姫は賢いね。
お仕事だったね。
サンタさんは誰でも
なれるわけじゃなくて、
選ばれた人しか
なれないんだ。
それで選ばれるためには、
サンタさんの真似をする
アルバイトをする必要がある。
街でよく見かけるサンタさん達は、
本物のサンタさんになりたい
人達なんだよ。
僕も昔は、そういう人達と
一緒で、サンタさんの
真似をしていたんだ。
―――――結局、
諦めるしかなかったけどね。
(どうしてサンタさんに
なるの、諦めちゃったの?)
ええと、こう言っちゃって
いいのかな……
諦める理由はね、
真姫が産まれてきたことなんだ。
(―――――え?)
ごめん、いきなり過ぎたね。
ちゃんと説明するよ。
宿ったことがわかったとき、
僕は嬉しくてサンタさん
仲間に話をしたんだ。
僕も今度、
パパになるんだよ、
ってね。
仲間達は自分の
ことのように喜んで、
僕のことを祝ってくれたよ。
でもね、サンタさん仲間の
中でも、一番サンタさんに
近いって言われてる人は
喜んでなかった。
祝ってもくれなかった。
ただ、こう言われたんだ。
「君は、君の子供と
オトノキ中の子供、
どっちを優先するんだ?」
って。
僕は、迷わず答えたよ。
「僕は自分の子供を
最優先します」
そりゃそうだろ?
だって、自分の子供が
オトノキで……ううん、
世界で一番可愛いんだから。
……いや、ママは可愛いけど、
それよりも美人だよ。

一番近い人からは怒られちゃった。
「オトノキ中の子供を笑顔に
できないやつは、サンタさんに
なる資格はない」
そう言われて、サンタさんの
証である、白ひげを
取られちゃったんだ。
その後に言われた言葉を、
僕は絶対に忘れないよ。
「お前はオトノキの子供よりも
自分の子供を優先したんだ。
絶対に笑顔にさせろ」
この季節になると、
毎年思い出すんだ。
この言葉の重さを。
―――――だからね?
真姫。
僕は真姫のために
「オトノキの」
サンタさんを諦めたんだ。
でも一切後悔してないよ。
だって僕は、
「娘の」
サンタさんになれたん
だから―――――
パパの言葉の力強さと
温もりは、今でも覚えてるわ。

その年からクリスマスは毎年、
昔使ってたっていうサンタさんの
服を出してくれるの。
赤いコートに白いファー付きの、
いかにもサンタさん、
っていう格好だったわ。
はじめの年は家に帰るなり
「メリークリスマス!」
って叫んで出てくるから、
一瞬パパだってわからなくて、
泣いちゃったわよ……

ちなみに、
このサンタさんの時から、
パパのことは大好きよ。
今まで知らなかっただけで、
私が産まれる前から
こんなにも愛されてたんだ、
って思うと……
うん。
悪い気はしないわね。
これで私の話は終わり。
……もしかしてあなたたち、
このサンタさんの仕組みを
知らなかったの?
しょうがないわねぇ、
別に秘密にしてるわけでもない
だろうから、誰かに話をしても
いいわよ。

これで終わりです。
お粗末様でした。
また書いてくれ
お疲れ
こういうの良いね
未だにサンタにさん付け
の真姫ちゃんかわいい
こりゃまきちゃんじゃなくても
大好きになる

ちょこちょこママを気にしてる
パパかわいい
管理人はcv藤原啓治さんで
再生してみました
個人的にはcv小山力也で再生された切継みたいな
俺は大塚芳忠かな